白豕と淡雪

革靴、装い、たまに二次元。暇に飽かせて筆の赴くまま……

私は持っていないけどスワールトゥってそんなにだめですか?

 残念ながら持っておりませんので以下、借り物の写真です。スワールトゥ、もしくはツーシームと呼ばれる靴ですね。

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縦に流れる2本の縫い目が特徴の靴。実際に履いてらっしゃる方も多いはずです。

ひと頃ほどの勢いはない気もしますが…とはいえ今でも様々なメーカーのラインナップから外れないのは、一定の支持があるからでしょう。

 

 ところでこのスワールトゥ、結構な靴好きの間で蛇蝎のごとく嫌われてるってご存知ですか?

 曰くカジュアル、曰く安っぽい、魔法使いの靴みたい云々…スワール憎しの言辞が踊り狂う靴の世界。

 

 何だかそんなのを見ているうちに、別にスワール良いじゃない、むしろ買っても良いし!とすら思えてくるのが私でした。

 

 一体この形の何が問題なんでしょう。カジュアルだから…派のいうことは尤もなのですがUチップやモンクが罷り通るのですからスワールトゥを禁ずる理由としては弱すぎます。

 といいますか、結論は分かっているんです。何故スワールトゥが叩かれるのか。

こんなこと言いたくはないのですが、それはスワールトゥを履く人が奇麗に履いていないからです。

 

 もちろん全員ではないんですよ。でも廉価品に採用されたおかげで、靴に無頓着な人が何となく手に取る形になってしまった。折しものロングノーズブームも相俟ってですね。

 何となくカッコいい、そんな程度で履くと爪先をぶつけます、削れます。しかもシューキーパーは入れない、すると爪先が反りあがってくる。これではまともな靴好きに嗤ってくれと言っているようなものです。

 やがて、身近にぼろぼろのスワールトゥを見続けた靴好き達はスワールトゥはダサい、安っぽい、と思うようになった、というのが大体のストーリーではないか?と妄想たくましく考えてみました。

 

 どうすればいいのか?簡単ですね。お手入れです。

 時々安い靴だから何もしなくていいと思っている方がいますが、それは違う。私はセメント式の靴にだってシューキーパーは入れますし、ガラス革だってクリームを塗ります。

安いうえに傷だらけだったらそれはもうどうしようもなくなっちゃいますよね。セメントの靴だって修理できるんですよ。ローテーションしつつ、大事に表面さえ手入れしておけば長く履けるんです。

 

 スワールトゥは特に爪先を強調する靴ですから、ここを目立たせないようにしなくてはいけません。傷やらで消耗すれば逆に目立ちます、悪目立ちです。鏡面にもしなくていいと思いますよ。むしろ艶を押さえてケアした方がかっこいい靴だと思います。

 

 ということで、今回はスワールトゥ悪くない。ただし奇麗に履いてみて、という話でした。上手に使えばON/OFF兼用の便利で面白い靴だと思います。デザインのバリエーションも豊富!私も機会があれば買ってみたいものの一つです。

YOOXで買うフランチェスコベニーニョ

 ベニーニョ(benigno)といえば、所謂コストパフォーマンスに優れたイタリア靴として有名ですが、実際のところどうでしょう。

少し前ならいざ知らず、値上がりの末今や国内では6万越えもざらですからね…この値段になるとベニーニョ以外の選択肢は充分揃っています(個人的にはYUHAKUのパティーヌが凄いと思う)

 

 そうは言っても私にとってベニーニョの艶やかな色合いは憧れ。何とか安く買えないものかと考えて、見つけたのがYOOXでした。

 

 YOOXはイタリアのファッション通販サイトで、日本語にも勿論対応しています。GucciだのArmaniだのといったメゾンブランドから、イタリア服好き垂涎のIsaiaやKiton、それに聞いたこともないイタリアのマイナーブランドまで揃うまさに楽園。

 

 魅力は品揃えだけではないですよ。その大胆極まりない値引きも紹介しなくっては片手落ちでしょう。詳しくはまあ実際見ていただくとして、探せば可也お得なものが見つかります。

 

 それとイタリアから配送するので不安に思う方もいらっしゃるでしょうが、返品や交換も可能です。特に靴なんて、こういう配慮がないと安心して買えませんよね。送料は若干(とは言えないほど!)かかりますが、今回は送料無料の期間中に買ったので問題なし。

靴なんて決定的に合わなければ返品するわけですし、返品したうえ送料と返品にかかる色々もごっそり取られたんではやり切れませんよね。

 

 ただ、やはり不備もあるんです。それは商品の説明の乏しさ。

 

 たとえば靴を買うとして、1枚しか写真がなかったりする。私の買ったものがまさにそうだったのですが、せめてソールくらい写してくれないと…と歯ぎしりしたものです。製法、生産地も不明。

ベニーニョはマッケイと決まっているからいいようなもの、初めて見るメーカーなどで製法がわからないのは正直なところ買う気をそがれます。

 

 服だって、細かなサイズは全く書かれておりませんから、お直しできるかもわからない。このあたり、画像と表記の少なさは困りものですね。

 よく見ると、スネークスキンプリント、と書いてあっても本当のパイソンだったりするものもありました。こうなるといよいよ不安に思えてきます。

サイズの不揃いが多いのはご愛嬌。安さの原因とみて目をつむりましょう。

 

 とりあえず、YOOXの概要兼雑感はここまでにして、私の買った靴を。

 

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ブラインドブローグっぽいジップアップブーツ、というところでしょうか。

普通なら脇に持ってくるファスナーを真ん前に配したのが面白いです。トゥも意外に短いので使いやすそうです。

 

写真だとわかりにくいですが、流石ベニーニョという奥行きのある色合いになっています。本当はもう少し派手な色のほうがそれっぽいのですが…

※ベニーニョのパティーヌに関してはYoutubeの動画が非常に解りやすかったです。francesco benignoで出てきます。見ていたらもう1足欲しくなってきた…けど今年は家族の目が冷たすぎるのでもう買えません。

 

 ベニーニョはワイズがDとかいう話も聞いて、幅広の私はおののいていましたが全くの杞憂。若干甲が低くてファスナーが上げづらくはありますが、それ以外は包み込まれるようなフィッティングです。

踵なんかは奇麗に絞られていて抜けるようなこともなさそうですね。

それと、黄色の箱が可也好み。箱だけとったら、一番好きなメーカーかもしれません。

 

これが5万3千円の6割引きで、2万円ほどでした。やはり買い物は季節外れに限る…!もう一つ対抗馬があってそれは以下写真の同じくベニーニョ。

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これは6万5千円の6割引き。むらのある、小汚い(褒め言葉)色合いが素晴らしい。今見るとこちらの方がお洒落な気もするんですが、履き口の毛皮が邪魔なんですよね…厳寒期しか履けなさそうな感じ。

 

それと、青い方はラバーソールだというのがネックでした。もしレザーソールだったらこっちを買ったかもしれません。

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そのレザーソールはこんな感じ。飛び切り洒落ているわけでもないですが、焦げ茶の縁取りは手で描いてあったりして好感が持てます。化粧釘も十分。

実はトゥスチールにこの靴で初挑戦することを画策中。どうせ秋までは履けませんからね、色々悩んでみます。

 

それと、YOOXはふつう4から6日で配達するといっているんですね。イタリアから飛行機で運んでくるわけですから、それでも充分早いと思います。

なのにこの靴は金曜深夜に注文して土曜の昼に発送メールが届き、日曜の昼に家に届いたんですよ。2日足らず…全く訳が分からない。日本の誰かがちょうど返品するタイミングで私が注文したのでイタリアを介さず届いた、とかでしょうか。

 

ということで、YOOXでベニーニョを注文した話でした。

SantoniやTod'sなどの定番イタリア靴の他にもTricker's、Church'sのようなイギリス靴もありましたし、件のBrecosもひっそり扱っていましたよ!ABCマートより高いのは解せませんが、セールで1万円台まで下がっていましたらそのコストパフォーマンスを実感できると思います。結局またbrecosの話で〆ることになってしまったな…

或るイタリア男に就いての一考察Vol.6

  白状します、私はジャケットにTシャツを合わせる着こなしが嫌いでした。今も好きにはなれない。わざわざジャケットに首の皮脂を擦り付ける意味が分からない。

服を愛していないことを喧伝して歩くようなもの…まさしく私にとっては奇行子の着こなしでした。

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 ですから、このスナップを紹介するかどうかとっても迷いました。むしろこの画像を保存するかどうか迷った。何か自分が変節するような気持ちの悪さ…でも、カッコいいと思っちゃったんですよ!

 

 カットソーとジャケットを合わせているの数多の小僧と、この写真の男性の違いは何か、考えていきましょう。

 

 といっても単純なことです。それは、良い意味での古さ。そして一つだけぶち込まれた場違いな新しさ。

 彼の着こなしを見て、最初はカットソーだと気が付きませんでした。それくらいクラシックな着こなし。流行り物が好きな人にとってはズボンは太いし長いし、上着も緩い!と叫びたくなるんじゃないですか?だがそれでいい。本当に美しいスーツスタイルだと思います。

 

 他のアイテム、パナマハットやスペクテイターシューズ(コンビシューズ)も全く以てレトロ。どうせなら白のドレスシャツに派手なペーズリーのタイでも、と私みたいな普通の者は思うところです。

 それを嘲笑うかのようなカットソー、バンダナを加えているのが小憎らしいですね。以前バンダナが流行った時の写真でしょうか…何だか見たとき脱力しちゃって、こうも予想の斜め上を行く着こなしがあるんだ、とがっくりしました。

 

 奇抜なのは慣れています。色や柄で人目を引くだけの、祝祭的なファッションです。そう、ファッションでしかない。

 

 これまでも似たようなコンセプトはたくさんありましたよね。スーツにカットソー、スーツにスニーカー。どれを見てもこれほど印象深いものではありませんでした。

 何でかなあ、と考えてみると、多分それは彼らが流行の申し子でしかないからです。全身から今の香りがプンプンする。

だからどんな着こなしでも、こういうものかと受け入れられたわけです。へえ、今こういうムーブメントが作り出されてるんだ、という極めてあっさりと、冷めた目で見ることが許されたのです。

 

 このスナップの男性、好きか嫌いかはさておき凄まじい装いです。これを目指すのは難しいでしょうな…

クラシックとモードの融合は数多の猛者が試みていますが、大抵失敗していますからね。こればっかりは目の保養にしておくにとどめたい、そんな着こなしでした。

 

この乾ききったアザラシにクリームを

 以前、エキゾチックレザーはベルトから、見たいなことを書きました。

そんなことを言ったくせに自分がそれほど持っていないことに気づいたので買い足してみたのがこれ、アザラシです。

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紛らわしいですが一番上の黒いのがそれ。しかしベルトってどう撮ればいいんでしょうね!1本だと全然ベルトっぽく写らないのです。まあそれはそれとして。

 

 アザラシ革、シールレザーなんても言いますね、特徴はその皺です。それによって奥まったところと表面の経年変化の差が面白いとか何とか。

 ですが、私の家族はこう評しました。

「牛革には見えない、しかし何の革かもわからない。だから強いて言えば合皮に見える気がする。」

なんとおぞましい現実!でもいいんです、自分だけがわかっていれば…

 

 こういうの珍しいでしょうか?手縫いで仕上げられているのが面白いです。

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 多分服でいえばAMFステッチのような、手縫い風だと思ったのですが御丁寧に「手縫」の表記が。

私はこういう人の手の動きが見える製品を見るとわくわくするんですよね。ネクタイの裏側とか、チーフのふちかがりとか。

ですが、これは好き好きだろうなあ。私にとってのざっくりとしてユーモアたっぷりの縫い目は、人によっては単にデリカシーを欠いた野暮ったい代物にしか見えないはず。それが装いの妙味、いいえ辛いところです。

 

 で、今更ですがアザラシの革って生々しく思いませんか。私は手にしたとき蛇やワニやダチョウとは違う感覚を覚えました。簡単に言いますとね、もふもふしたアザラシのつぶらな瞳がフラッシュバックしたってことですよ!

 

 ダチョウだって、クロコだって、アザラシだってー。みんな真ん丸な目をしているのに何故かアザラシは別な気がします。象とかもそうなんですけど、少しかわいそうといいますか…

 勝手に贖罪の気持ちを込めてクリームで保湿しました。何か、アザラシって脂っぽいといいますか、しっとりしていると思ったのですが結構かさかさして乾いた感じでしたね。

 

 それでは使い込んで味が出てきたころにまた続報を!といっても普段は専ら牛革で、こういうのは年に数えるほどしか締めないのです…経年変化なんて何年後になるのやら。気長にお待ちいただければ、いつかは。

Brecosは4人いる 後篇

 なんと今日は七夕ですか。まあ生憎私には織姫と彦星のロマンスみたいなのは縁がない。そんなことより革靴だ!ということで前回の残り、あと2足のbrecosを紹介します。

 

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 1足目はこれ、黒のUチップです。何の変哲もない?いえよく見てください、甲の部分はグレーの革。これはツートンなんですよ。

 

 最初は、これの色違いで焦げ茶とライトブラウンのコンビを買おうと思っていました。が、家族の反対でこちらに…でも単なる黒と違ってカジュアルに馴染みそうなので良しとしましょう。

 

 実はこれを買うまでUチップが嫌いでした。Uチップを無造作にスーツと合わせるビジネスマンの方たちが多くって、どうかなあ…と思っていた。いや、正直に言えばUチップはカジュアルだからスーツに合わない、という言説に踊らされていたんですね。

 

 でもこの靴にはやられた!ロングノーズではないのですが甲の部分の革が他のUチップと違って小さめなので(説明しにくい!)すっきりして見えるんですよね。

 

 一気にUチップ肯定派に鞍替えした私…2足目のUチップは前に書いたマグナーニでした。未読の方は是非ご一読を。中古の靴を買う際の注意などもまとめてありますので。

 

liaodongspig.hatenablog.com

 

 

f:id:awayuki34:20170620170733j:plainコバの上のチェーンステッチも凝っていますよね。

カジュアルな感じにはなりますが、こういう(余計な)ディテールが大好きです。

 

 ですが、自分の足には少し合わない部分があるのですよ…私の偏平足気味の足に、ヒールカップが突き刺さる!妙な皺も入ってしまって残念。

この靴、大学入試の際にスーツと合わせて履きまして、結構歩いたりもしたのですが、最後は少し痛かったです。まあ試験の当日に靴を履き下ろすってのがそもそも冒険ですがね!

  

 全体的にがっしりとして、実際他よりも可也重たそう。ソールも厚く、イギリスっぽいです。次第に馴染むんでしょうね…まだ1回しか履いていませんが、そろそろ履きたいです。

 

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この靴が、4足目に買ったもので何と10800円。最初の記事でお話ししたものですね。

ローファーは2倍の値段がしましたが、こちらの方が上質に思えるくらいです。それくらい革も美しい。なかなか写真では伝わりませんが、本当にきれいで自然な染めです。

 

 靴底にベベルドウェスト風にしたかったらしき面影があるのが非常に好み。最初は謎の出っ張りにしか見えませんでしたが!

 これは履き心地も非常によくって、全く当たるところもなかったです。逆に、人によっては踵が緩く思えるかもしれません。同じメーカーでもそれぞれフィット感が違うので、革靴って難しいなあ、と実感します。

 これもまだ1回しか履いていませんが、デニムと合わせても違和感はありませんでした。というか、このbrecos4足は全てカジュアルシューズですからね、スーツに合わせる方が似合わないかもしれません。

 

 結びに私がこのメーカーの靴が好きな理由を強いて挙げるなら、その良心的なことですかね。

手の届く、誰もが十分買えそうな価格でいて、修理しながら長く履けるような靴を作る。これ以上素晴らしいことがあるでしょうか。日本とは履物に対する考え方が根本から違うんだなあ、と痛感します。

 

 よく、靴を適当に履きつぶす方を揶揄する人がいる。気持ちは分かるのですが、それってその人の所為だけですか?

何か、手ごろな値段で日本の靴を探そうとするとまるで履きつぶしてくれと言わんばかりのセメントしかない。

修理しながらでも履きたい奴は数万出しな、ということらしい。誰もが誰も出せるなら素敵なんですがね。

 

 高い靴は買えなくても、靴を大事に長く履きたいって人はいると思う。その思いに応える靴は、残念ながら日本では珍しいのが現実です。革靴入門3万円なんて平気で言う方いますが、3万出す人はもう靴好きになってます、沼に片足突っ込んでますよ。

 

 日本の靴もまずまずの価格になると素晴らしい品質になるので、コスパが良いのは国産だという方も多いですが、そんな方にこそイタリアや、もしくはスペインの低価格に目を向けていただきたいですね。まあ全てが全て良質とは言えないので…粗悪なものを避ける眼力は要ります。が、当たりを引いたときの感動はすごい。

 

 まあ、今日はここまで。以上、手持ちのbrecos紹介でした。五足目は…買えるといいのですが入荷がないしなあ。手に入った暁にはまたご紹介します。

 それと今回ベニーニョが安く買えたので、届いたら何か書きますね。

 

ちなみに前篇はこちら。一番のお気に入りを紹介しています。興味のある方は読んでいただけると嬉しいです。

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