白豕と淡雪

革靴、装い、たまに二次元。暇に飽かせて筆の赴くまま……

賢いシャツに逢うために

 ワイシャツなんて消耗品でしょ、すぐ汚れるし。と大半の人が考えている一方、2,3万ならかわいいもので数万を惜しげもなくシャツ1枚に払う方たちもいる。特に定評あるイタリアのシャツなんて2万円~が普通ですよね。私はそこまでの境地に達していないので、そういうシャツを古着屋で格安で買ったりしています。

 

  で、そんな高級シャツとそうではないシャツの違いってなんでしょう。生地、縫製、これはまあそうですね。フランスやイギリスはそうでもないですが、イタリアのシャツは手縫いが入る場合も多いのでなおのこと手が込んでいる。確かに素晴らしい質だとは思います。でも必要ですか?

 

 繊細すぎる生地、甘く縫われた手縫い、1日着たら洗濯機に投げ込む方の手におえる代物じゃありません。言ってしまえば趣味の領域なのです。

 

 だからシャツは適当に選んでいいよ、とはいかないのが難しいですね。ですが良いシャツの特徴、ディテール、そして雰囲気、これを覚えるだけで手ごろな価格の製品から値段の割に良いものを見つけられるようになる。経験から言い切ってしまいましょう。2,000円で十分素晴らしいワイシャツが手に入ります。(勿論この価格で以下のディテールを備えているものは少ないですが、似た雰囲気のものを選ぶ眼が育ちます)

 

 それでは見るべきディテールを上げていきますが飽くまで参考で、例外はあります。

 

1.ボタンが貝ボタンである

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                                            E.Z by Zegna

 これは、古着屋なんかでシャツを見る人なら必須かつ一番有効な確認ポイントではないでしょうか。私は一着ずつ見る時間が惜しいとき、流れ作業のようにカフスだけ見ます。貝ボタンがついているものや、ダブルカフのものだけ取り出してじっくり見る、という流れです。それと単純に、貝ボタンは分厚いものほど上質、ひいてはそれを付けているシャツも上質、な場合が多いです。

 

2.ヨークの縫い目

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                                               Wild life tailor

 ヨークとは、背中の上、肩甲骨くらいのところのパーツです。写真では1本縦の縫い目が入っていますね。これは、この部分を2枚の布で作っているということ。ここを1枚で作っていると、この部分に縫い目はありません、そういうシャツが大半です。2枚にしたからなんだ?そうですね、体の動きにフィットするとか言われていますが、要は手が込んでいるから上等、というだけです。

 

3.胸ポケットがついていない

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                                                Danolis

 日本のほとんどのシャツにはついている胸ポケットが、世界のほとんどのシャツについていないというのは驚きかもしれません。何故ってアメリカのシャツにはついているので、それが入り込んだわけです。イギリスもイタリアもフランスもついていません。

 確かにポケットがついているシャツを着ると、便利だなあ、と思います。でもそこは我慢ですよ。カッコいいワイシャツなのに胸ポケットがついている…そんな時は取ってみては?私も結構取りますよ。裏からハサミで糸を一ヵ所切って、地道に目打ちか何かで糸を抜いていきます。糸を抜いたら穴が空いてるじゃないか!と怒らないでくださいね。丁寧に洗えば目立たなくなります。とにかく急がず慎重にやることです。

 

4.カラーキーパーの脱着ができる

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                                                    Landini

 カラーキーパーというのは、襟に入っている細いプラスチック片です。襟をピンと張るためのものですが、洗濯しているうちに形が変わってしまうこともあります。というわけで付け外しできるものならそれを避けられますよね。まあそんなに深い意味はないです。脱着可のほうが本格派ってくらいです。

 そういえば私が服装について関心を持ち始めた時、カラーキーパーは付けても外してもよい、といった趣旨の文を目にしました。戸惑いましたね。私の中でこのプラスチック板は襟に縫い込まれているものなのです、外すって切って出すというのか?ま、種明かしはこんなものでした。外せるものもあるわけです。

 

5.前立て…はどちらでも

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 わかりにくくて済みません。右が表、左が裏前立てです。右が見慣れた形ではないでしょうか。ボタンをはめるところに一枚布が足されているやつです。

 イタリア全盛の最近は裏前立てが尊ばれています。そうでなければ時代遅れ!みたいな言辞も見たことありますが、それは違います。イギリスのシャツは今でも表前立てなのです。それにネクタイをすれば見えるものではありませんし、これはお好みで、としておきましょう。

 

6.カフスのギャザー

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                                    Seaward&Stearn

 おい、アイロン真面目にかけろよと言われそうですが、これは難しいとわかっていただきたい。袖にカフを縫い付けるところを見てみると、いやに複雑なギャザーが寄せてあるのがわかりますよね。廉価なシャツだと、折り畳んでタックのようにしてある部分です。正直アイロンが難しいだけなのですが、凝ったものはこういうディテールもある、と覚えておくのは損ではないです。

 

 とまあ鬱陶しく書きました。こんなところを見るとシャツの良し悪しがわかったり…するかも。あとは自然素材100%にこだわってください。アイロンも慣れれば愉しみです。それと面倒でしょうが値段にかかわらず、好きなシャツなら手洗いか、最低でもネットに入れて弱水流がいいと思います。丁寧に扱えば応えてくれるのは、服全般の話です。