白豕と淡雪

革靴、装い、たまに二次元。暇に飽かせて筆の赴くまま……

フリーゲーム Summer×3レビュー

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 2012年発表の作品。あまりこういう表現を使いたくはないですが、フリーゲーム離れしたクオリティ。特に素晴らしいのは声です。フリーゲームって無償で配布するものですから基本的に声優さんは付かないのが普通。

 でもこのゲームは二十数人に及ぼうかという登場人物全員に声が充てられていますし、それぞれピッタリなんです!なんと主題歌まであります。

 

 あとは絵の美しさですよね。これは好みは置いておいて、結構上手いと誰しも思うのではないでしょうか。それもそのはずといいますか、このゲームを作ったスタッフはその後商業作品でデビューしているんです(今はないブランドですが…)。

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 と、手放しで褒めましたが難がないわけではなくて…それはシナリオなのです。

 途中までは、実に楽しい。物語に惹きこむ力があるのでしょうか、突っ込みどころは多いもののそれすら気にならずにぐいぐい読ませてくる。キャラクターが生き生きしているのです。

 

 じゃあなぜシナリオにケチを付けるのか?これはもう、絶望的なまでにラストがよろしくないわけです。締まらないというか、単刀直入に申せば詰まらな…いえ、それでも読ませるあたりがライターの筆力なのかもしれませんが。

 

 このゲーム、どういうわけか案外狭いフリーゲームの世界で話題にならない。

そこで、こうして私が鳥渡肩入れしているわけですが、シナリオのせいで万人には勧められません。誰しもが楽しめる優しい雰囲気が上手く作られているのに勿体ないのですが、真面目でシナリオ重視の方は到底楽しめないのが目に見えています。

 

ですが、ご都合主義やトンデモ展開にあふれたラストを見て見ぬふりができる、もしくは笑って許せる方ならぜひプレイしていただきたいゲームです。

 

以下、簡単なあらすじとキャラクター別の感想など。

 

 所は日本、時代は明言されていませんが、明治くらいかな?まあ余り考証するのは野暮ですかね。歴史ものではないので深く考えると負けだと思います(その辺は可也適当なので)。

 下宿屋の子である主人公の京太郎のもとに幼い頃一度会ったきりのイギリスの女の子が訪ねてくる。悪友の悟と幼なじみの女の子たち3人も混ざって5人で楽しい一夏を過ごす、というのが大まかなところ。

 

 恋愛もあります。というかメインのはずなんですが、普通に皆で遊んでいる共通部分のほうが楽しいんですよね!まあ4人の女の子それぞれにルートがあって、エンディングは4種類です。

 

 では、そのキャラクターごとの感想をば。

 ネタバレが大いにありますので、ゲームをやりたい方は読まないでほしいです。やりたくなった方…いるのかな。私の説明が拙すぎてゲームの良さを紹介できてない気がしてなりません。

 

・胡桃ルート

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奥のちっちゃな女の子の方が可愛い、とか言っちゃ駄目だ!茶髪が胡桃。

 

 気が強くて京太郎に対して素直になれない八百屋の一人娘。まず八百屋というのがいい!古来野菜を売るヒロインがいたでしょうかね。この謎の温かみがこのゲームの魅力ですよ。

 のっけから脱線してしまいましたが、諸々を経てついには京太郎と付き合い始める胡桃。その矢先に記憶障害になって仲間のこと、ついには京太郎のことすら忘れてしまうのです。それでも京太郎はその胡桃を受け入れてずっと傍にいる…美しき哉純愛!

 

 ここでやめておけばいいのに、何年か経った後が鳥渡描かれる。亡くなった胡桃、京太郎は2人の間に生まれた子供にやさしく語りかける…

 胡桃は記憶が長時間持たないのに、チャイルドが何故?これは私の頭を抱えさせるに充分すぎる謎でした。このラストのせいでしこりが残ったんですよね。

 

・千歳ルート

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     京太郎はなかなかに優しい好青年、一人称は「僕」←重要

 

 可愛いよ千歳ちゃん!黒髪に黒い着物が似合ってるね!見た目通りクールだけど本当は少しさびしがり屋さん…定番です。 

 一生懸命体の弱いお母さんを気遣って家の仕事(本屋、和本です)に励む千歳ちゃん。それを手伝う京太郎。二人の距離が縮まらないわけはないですね。

 幸せな未来が120%私の脳裏に浮かびあがる…ゴールはもう近い!そうは問屋が卸さないのがこのゲームだ。

 

 そうは言っても4人の中ではまだこのルートが一番まとまりがあって完成度の高いものでした。

 ある日京太郎の奴がリズ(後述)に乞われて手をつないでしまったのが運の尽き。それを見た千歳ちゃんが所謂ヤンデレ的ディメンションに達した結果、鳥渡だけハサミが炸裂して血がちょびっとだけ流れ…はしますが大丈夫、ハッピーエンドです。

 

 とある事件からの、「恋する乙女は何でもできちゃうんですよ」という台詞!このシークエンスはこのルート、いやこのゲームきっての名シーンだと確信しています。

 

    

 

・桜子ルート

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作品の時代を特定させないのが彼女。服から髪の色から、近未来的。他の子は和服なのに!

 

 京太郎、お前桜子ちゃんのことが好きだったのか…?短兵急の告白を以て他に比べるとあっさり二人は結ばれ…やっぱりそうはいかないのね!

桜子のパパが来襲ですよ。貿易会社の社長とか言ってるが、どう見ても八九三にしかみえないです。ブルジョワらしく庶民が徹底的に嫌いなので勿論庶民代表の京太郎もゴミ扱い。引き離される二人…

 いやフィクションってのは恐ろしいな!なんやかんやあって二人は結ばれます。しかも京太郎、何もしていないじゃないか。

あと、このルートだけ不思議ワールドが展開されており、桜子にキツネやウサギの耳が生えたりするのです。厳然たる蛇足。可愛いからって何でも許されるわけではないのですよ…

 

 

・リズルート

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 多分メインはこの子。想い出の花火を見るため外国から来るっていうのが先ず以てゲームっぽいことこの上ないですなあ。このルートは桜子の話と似ていなくもないのですが、こちらのパパは優しくて娘を愛しているうえ、京太郎にも理解があるダンディ。しかし妻に頭が上がらない。

 

 要はこちら、リズと京太郎にとっての障碍はママ&リズのフィアンセ。このフィアンセが曲者で、こいつもブルジョワ的精神を涵養されきって庶民を馬鹿にするわけですよ。ところがどうだ、最後は味方だったはずのママに切り捨てられる…ママはビジネスライクなんですね。

 

 このルートで桜子がとった行動はやや腑に落ちないものでした。君は社長なのか、という。ラストも極めて物足りなく、メインの貫録を欠いたルートだったかもしれません。このルートこそ、二人のその後について触れてほしかったのですが。

 

 

 ということで、久々に二次元への熱い思いを迸らせてしまった…

個人的には埋もれてほしくないゲームです。色々と物足りない部分もありますが、無料ですから是非ダウンロードしてプレイしてほしい。

鳥渡だけやろうかな、と思っても随分時間が経っていた!なんてことがあるかも?それくらい面白いゲームでした。

 

7.28追記

「Summer×3」とか、「Summer×3 フリーゲーム」とか で検索しても引っかからないようなので(何故?)、トップページのアドレスを貼っておきます。

とっぷ - summer-3 Jimdoページ