Radius ドブルベ ヌメロキャトル

 ドブルべ ヌメロキャトル。近所のヨドバシカメラにずっと試聴機が置いてあるものだから、毎回冷やかしで聴いていた。

いや、冷やかしというには鳥渡ばかし熱い眼差しを向け過ぎたかもしれない。第一あんな五月蠅いところで、音なんか分かりっこないのだ。多分見て呉れに惚れたんだろう。

 先日はつい銀色のイヤホンに手を出してしまったが、僕は全くの金好みである。

ついでに言えば青は嫌いで、赤が好きだ。デザインはオーセンティックより奇抜を好む。つまりこいつはドンピシャだ。これだけでラディウスのデザイナーに敬意を払える。

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 さて開梱早々、矯めつ眇めつしながら弄くり、閲する。見て呉れは、先に書いた通り百点だ。ビルドクオリティが高いという評判も聞いたが、個人的には否定する(具体的にはパーツのぐらつきが結構ある)。

この無遠慮極まりない外観に反して、指先が、これは脆いぞと訴えかけてくるのだ。もしかして何らかの意図があるのだろうか?ガチガチに固めすぎない方が音が良いとか…

 

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 そう言えば、と思い出して引っ張り出してきたのはONKYOのW800BT。何となく、手にしたときの感じが似ている。

これも見た目に惚れたものだ。円を基調にした癖の強いデザインといい、大きめのハウジングといい、僕の好みも一貫している。

 しかしこれはBluetoothイヤホン特有の充電が面倒だし、出先では殆どイヤホンの類を使わない僕にとって、無線のうまみがなさ過ぎるのだ。世評に反して音は可也気に入っているが、常用の品ではない。

 

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 閑話休題、ヌメロキャトルの話に戻りイヤホンの愉しみの一つ、付属ケースも見てみよう。

初代ドブルべを模すという着想には感心するが、これは可もなく不可もなく、という代物。Pianoforteの真鍮製ケースを味わってしまったのは、一生の不幸だったかもしれない。あれと比べると、どれも実用の具かユーモアの表出にしか見えないのである。

このケースもイヤホンに合わせて、本体が赤でファスナーがゴールドだったりしたら、もう少し所有欲が満たされると思うのだが。

 

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 試聴機にぞっこんだったとは言え、部屋で落ち着いて聴くのは初めてである。

慎重に音出し。試聴で感じた煌びやかな高音よりも、ずしりと重い低音に圧倒される。

こういうイヤホンだったのか?

到着を待つ間読み込んだレビュアー諸氏の言を色々思い返すが、僕の感覚にピタリと嵌るものはない。

 ただ、要所でドキリとするような音を出してくる。キャトルは、ピエゾの恩恵か、やはり微小な音をよく伝える。粒子で耳の中を擽られるような感覚が楽しい。重みのある低音と、音場の広さで音楽をダイナミックに愉しませてくれる。

 けれどこれは、極言すれば普通のイヤホンだ。今はまだ高揚しているが、気取らずさらりと使えば、いずれ自分の中でもこれが日常になる。そんな予感がする。

Pianoforte IXにはそれがない(重いし、傷が目立つし、断線も怖い)。

W800BTも普段使いする気になれない(充電が億劫に過ぎる)。

 

 憧れの人が、添い遂げた途端平凡な存在になるというところか。

何等不満もない代わりに、衝撃もない。これはもしかすると、永遠に指を咥えて試聴機を眺めているほうが、お互いに幸せだったかな。そう思える幸運を噛みしめながら、今日もこれで遊ぶことにしよう。

Harris レザースニーカー

 イタリアの靴屋が上質のレザーと感性でスニーカーを仕立てると、こうなる。実に並の革靴なら食ってしまうようなオーラに気圧され、革靴フリークの僕もついつい財布の紐が緩んでしまったわけだ。

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 いかにもHarris、という派手なハンドフィニッシュがスニーカーにも惜しげなく施されているのが嬉しい。トゥの×印に、グラフィティのオーラを見るのは僕だけだろうか。

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 随所に菱形のブローギング。全てにおいて一捻りあり、何かが違う。違いついでに、敢えてセットアップにでも合わせるのが面白そうだ。これを大人しくデニムやチノパンに合わせるのは、あまりにも保守的で詰まらない。

Union Imperial シングルモンク

 革靴としては控えめで芸のないこのスタイルを、取り入れる必要に迫られた。

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 要は鳥渡だけ真面目ぶったのである。人をアッと言わせるには向いていないが、誰が見てもそう悪くは取られない。ユニオンインペリアルには、そういう良い意味での凡庸さ、匿名性がある。

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 バックルこそモンクストラップの要諦だと僕は信ずる。マットな質感のシルバー、大きめのスクェア、今回はつまらないではなく、Spartan-chicとでも言っておこう。繰り返すが、今回だけはお上品で清楚な男を演じたかったのだ。本当は銀色などノーセンキュー、目の覚めるような山吹色のゴールドが大好きだ。

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 トゥに施されたこの仕上げだけは看過できず、苦言を呈することにした。

本当はもっと色々あるけれどね。この靴はプレステージラインという、メーカーの中ではセカンドベストの位置付けなので少々の瑕疵なら目を瞑ることはできる。

 それでも価格帯を考えれば、一応は靴好き向けといえるであろう商品に、べったりとスプレーで塗装するというのは愚挙という他ない。拙い鏡面仕上げ風で、見る度に興を削がれるのだ。